試験が終わるまでお預けにしていた書籍をようやく読めたので、
感想および覚書を書いておきます。
この本に描かれているのは、
2013年まで代々木にあったミール・ロシア語研究所という
日本人のご夫妻がやっていたロシア語学校に
ロシア語に魅せられた、当時高校生だった黒田龍之助先生が
入学し、みっちりしごかれ、ご自身も相当な努力をなさって
ロシア語を身につけていく…という回想録です。
ミール・ロシア語研究所という学校は、
ロシア語に関わっている方々の中では有名な学校だったようで、
その学校の記録として貴重な内容なのだと思いますが、
私にとっては、一つの外国語を身につけるとはどういうことか、
身につけるためにはどういう方法や情熱が必要か、
それらが詳細にわかる本で、ものすごくためになりました。
特に、「音を作る」= 正しい発音をどんな場面でもできるようにする。
ことをされており、その過程や結果として、必ず暗唱させるというのが
とても印象的でした。
きっちりと発音矯正をし、その発音で暗唱をしなければ、
話せるようにはならない。
その部分を読んで、私も強烈に、
「自分もフランス語の音を作りたい!」と思いました…
さらに、フランス語学習を始めてから
疑問に思っていたことの一つに、答えをいただいた気持ちです。
やはり、暗唱しないと(からだに染み込んでいないと)
話したり書いたりする時には使えないのですね。
(作中、黒田先生もそう気づかれる場面があるのです)
また、ロシアに語学留学することもなく、
日本人の先生からみっちり習って暗唱することで
ロシア語を習得し、ただ話すだけにとどまらず、
ロシア語を教えたり、通訳の仕事までできるようになる
黒田先生の姿に大変触発されました。
他にも色々と、心に残った部分があり、
今後の自分の勉強に活かしたいと考えているので、
覚書として残しておきます。
・ネイティブと同等の発音を目指さない。
(発音矯正の本質はここにある)
・発音はネイティブに習うより、日本人の専門家から指導された方がいい。
・発音は、頭で理解するより体で覚える。(体育会系〇〇語を目指す)
・ミールで行われる授業内容
独習用の教科書を使っての
① 基本例文と応用例文の発音
②単語テスト
③口頭露文和訳
④口頭和文露訳
⑤質問と答え
⑥次回の単語の発音
・効果がある授業回数は、週に2回。
(週に1回なら2年以上続けること)
予習復習を入れて毎日の猛練習が必要。
なお予習とは暗唱するまで発音練習するのこと!
・外国語教育においては、暗唱はかかせない。
暗唱してこなかった学習者の外国語は、底が浅い。
(日本語社会で暮らしながらロシア語を身につけるのに、
ほかにどんな方法があるというのか)
・外国語学習では、あるレベルに達すると、
必ずまとまったテキストを読む練習をする。(訳読)
話せるようにならないのは、訳読が悪いのではない。
その後に暗唱しないからである。
どんなテキストにせよ、訳出した後に口頭で、
日本語から外国語へ訳す練習をすれば、必ず力がつく。
和訳を確認した後で暗唱するのが勉強である。
・初級段階で質問は不要。
何語にせよ、外国語を学習している方には
ぜひお勧めしたい一冊でした!